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ドイツのサマータイムと人々の暮らし

冬の厳しい寒さもピークが過ぎ、日中は暖かな日差しのなかで春の気配を感じられるようになってきた。日本ではこれから出会いと別れの季節「春」が始まるが、ドイツでは早速3月下旬からサマータイムが始まる。

ベルリンで便利な周遊バス

 

サマータイムとは

日本にはない習慣、サマータイム。そもそもはどのような制度なのだろうか。

環境省・経済産業省の資料によると、サマータイムは以下の様に説明されている。

サマータイムは夏時間制度とも呼ばれ、昼間の明るい時間が長い期間(例えば4月~10月)、全国の時刻を標準
時より1時間進める制度。この制度を導入することにより、起床・就寝時間、労働時間もこれまでどおりでありながら、明るい夕方の時間が1時間増えるためその時間を有効に活用できる。第1次大戦時から、イギリス等の欧米諸国で導入され始め、現在、世界の中高緯度諸国において導入されている。その総数は、70カ国以上で、OECD加盟29カ国中、日本、韓国、アイスランド(白夜になるため、サマータイムを導入する必要がない)以外の全ての国において実施されている。実施していないのは主として赤道直下のアジア、アフリカの諸国であり、日照時間の変化が少ないことが理由と考えられる。

「サマータイム」という名前から、夏の一部期間での導入というイメージを持ちがちだが、ドイツにおける実際の導入期間は3月下旬から10月下旬までの約7か月とかなり長い期間だ。つまり1年の半分以上がサマータイムなのである。長い日照時間とサマータイムのもと、人々はどのような暮らしを送っているのだろうか?


切り替えの瞬間に注意

サマータイム導入の日は時計が1時間早く進むため、1時間早く行動しなければならない。携帯電話などの時計は自動的にサマータイムへ切り替えられるが、文字盤形式の腕時計などを見ながら行動してしまうとうっかり時間を誤ることがある。飛行機でこの日をまたいで移動している場合や、この日に誰かと待ち合わせしている場合は注意が必要だ。これに対し、サマータイム終了の日は時計が1時間戻る形になるため、朝は1時間多く眠ることができ、得したような気分だ。長年サマータイム制度のある国で生活していても混乱する場合があるため、ドイツを例にとるとこのようなホームページで動画付きの丁寧な説明がなされている。

2018年のサマータイム開始・終了についての説明

2018年のサマータイム開始・終了についての説明


サマータイム中の生活

長い日照時間の恩恵を受け、仕事が終わってもまだ外が明るい日が続くドイツ。夜遅くまで外のテラス席では夏の「明るい夜」を楽しむ人が多いようだ。大都市でありながら自然も豊かなベルリンでは、公園や湖で外の時間を過ごすのも気持ちがいい。日が昇っている時間の人間の活動時間が増えるという事は、経済的な効果も大きい。それはひとえにお金を使うということだけではなく、電気などのエネルギー消費量を抑えられるという意味でもある。真冬はお昼過ぎから暗くなり始めるため、その代わりに日照時間の長いこの期間を思い切り楽しもうという人々の熱意は並大抵のものではない。

これに対し、サマータイムの生物学的な弊害も指摘されている。1時間とは言え、切り替えの当日は言わば「時差ボケ」のような状態に陥る。精神的にも肉体的にも混乱が生じ、ストレスが生じることにより労働に支障が出ることも指摘されている。また、人間だけでなく動物にも影響はあり、エサの提供時間の変化等により牛がストレスを受け、牛乳の生産量が低下するといったこともあるようだ。

(参考情報:動画 ”Was bringt die Sommerzeit?|Gut zu wissen”)


サマータイムという”文化”

日照時間は季節感を感じる世界共通の指標だが、これにサマータイムという制度が加わることで、高緯度圏独自の「文化」が形成されていると言える。自然と共生し日々を有意義に過ごそうと生まれたこのシステム、日本人には馴染みがないかもしれないが、そこから生まれるライフスタイルには学ぶものも多いだろう。

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