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2018年、ベルリンの街はどう変わるのか

未だ街全体が大きな工事現場のようなベルリン、なかでも2018年はベルリンの街が大きく更新されるようだ。Berliner Zeitung紙は1月2日付の記事で2018年におけるベルリンの動向についてこのような文章から始めている。”Berlin bleibt in Bewegung. (ベルリンは動き続けている)”

 

U5 (地下鉄5番線)

ベルリン中心部の北東エリアを走るU5は、ヒップな若者が集まるフリードリヒスハイン地区から旧東ベルリン時代の集合住宅が立ち並ぶマルツァーン・ヘラースドルフ地区を結ぶ重要な地下鉄路線だ。1日あたり約8万人を運んでいるこのU5は、2018.01.08 – 2018.04.01の期間集中工事に入る。U5のユーザーは代替の交通手段を探さねばならない。U5のなかでも比較的都心部を走るエリアでは一部代替輸送が用意されているが、都心側の終点であるAlexander Platz (アレクサンダープラッツ)への直接の代替輸送はなく、旧東ベルリンエリアの交通の混乱が予想される。先に述べたように、U5は観光客にも人気が高いFriedrichshain (フリードリヒスハイン)エリアを走る重要な路線であり、今後観光でベルリンを訪れる人にも注意が必要だ。

 

ベルリンの「空」の行く末は?

弊社ブログにおいても何度か取り上げたベルリン・ブランデンブルク新国際空港 (Flughafen Berlin Brandenburg)。当初の開港は2011年であったが、何度もスケジュールが延期となり、現在は2019年または2021年開港という予定が組まれているようだ。2018年オープンの可能性は極めて低いが、今年も新空港の建設と同時に、ベルリンにおける”空(そら)の事情”に大きな注目が集まる。2017年は破産申請をしていたエア・ベルリンが10月27日をもってすべてのフライトを終え、ベルリンの”航空史”にひとつ大きなピリオドが打たれた。現在ベルリンにおける最も大きな空の玄関口であり、ベルリン・ブランデンブルク新国際空港の開港に伴い閉鎖予定のテーゲル空港では、2008年より空港跡地の活用について議論がなされており、現在は”The Urban Tech Republic”というプロジェクトが立ち上がっている。「工業の強い国ドイツ」という時代のフェーズを終え、人口減少に伴い新たな産業での立て直しを図るドイツでは、ベルリンを中心にIT産業の集積を図ろうと試みている。テーゲル空港は他の空港と比較して都市の中心部に位置しており、利便性においては高い評価を得ていたが、その代わりとして騒音(離着陸に伴うジェット音)が大きな問題となっていた。今後空港という機能から官民学連携の「テック・イノベーションパーク」という機能に変わることで、ベルリンの比較的中心部に大きな伸びしろが生まれ、周辺地域の地価や家賃も上昇していくであろう。2017年9月19日付のZeit紙では、”Tegel wird nie mehr Tegel sein (テーゲルはこれ以上テーゲルではない)”とした記事を発表しており、新空港関連の話題と併行してテーゲル空港閉鎖後の新しいテーゲル、そしてベルリンの形が問われている。

 

2017年9月19日付 Zeit紙 ”Tegel wird nie mehr Tegel sein”:

http://www.zeit.de/mobilitaet/2017-09/volksentscheid-berlin-flughafen-tegel-luftverkehrsrecht

 

2018年の「ベルリンらしさ」とは何か

ベルリンは”arm, aber sexy (貧しいけどセクシー)”という言葉で表現されることが多い。これは2003年、当時の市長であったKlaus Wowereit氏の言葉で、現在でもベルリンとベルリナーにこの言葉の精神は脈々と受け継がれている。しかしながら、東西統一から四半世紀を越えた今、そしてこれからもベルリンは「貧乏だけどセクシー」でありつづけられるのだろうか?

ヨーロッパの中心という好立地でありながら、他の先進都市よりも遅れて発達したベルリンは、戦争や迫害といった時代の大きな傷を負いながらも、その「後発性」を武器に独自の進化を遂げてきた。ドイツ国内における東西の格差が是正され、物価や家賃の低さが現在は魅力となり、ベルリンは今やドイツ国内だけでなく世界中から人を集める「マグネット都市」である。ベルリンの復興・発展とともにベルリナーたちの挑戦が常にあり、近年はスタートアップ・ベンチャービジネスのメッカ、そしてアート・音楽といった文化の集積地としても名が知られるようになった。

「アメリカファースト」を掲げるトランプ大統領の就任、イギリスのEU離脱、世界各地で起こるテロなどを背景に、2017年は世界の”内向き化”が大きく進行した年だったように思う。このような状況のなか、2018年は多文化共生の街ベルリンの「今後の生き抜き方」が強く問われているのではないだろうか。新しい挑戦があふれるベルリンは、多くの人が移住すると同時に多くの人が去っていく街でもある。今後は地価の上昇やライフスタイルの変化によって、これまで”貧乏でセクシー”とされていた魅力が損なわれるかもしれない。2018年のベルリン像は、世界情勢におけるベルリンの立ち位置やベルリナーたちの人生設計など様々な要素を含んだ絶妙なバランスのなかで抽出されていくのではないだろうか。

 

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